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久田所長のSE弁理士ブログ

商標『真田丸』の攻防。

商標豆知識について

SE弁理士ブログに多数のアクセスをいただきありがとうございます。ご相談、出願のご依頼が増える中、昨年より現役SEとして設計業務もお受けしたため、ブロク更新が遅れがちですが、先日、大河ドラマ真田丸好調の記事がありましたので、調べてみました。以前苦戦と書いた「NHK大河ドラマ」ですが、真田丸は好調のようです。無事スタートを切った真田丸ですが、商標『真田丸』はそれなりに攻防戦があったようです。特許庁データベースより『真田丸』(漢字3文字に限定)をしらべると、出願中も合わせヒットしたのは十数件でした。真田丸好調のわりには、少ない印象です。商標『真田丸』は2006、2007年以下の出願で始まりました。


登録5095959  区分:29(鶏肉、鶏卵等)  ※)個人の登録商標です。


登録5065920  区分:30(コーヒー及びココア等)

※)株式会社おやきや総本家の登録商標です。


登録5117767  区分:43(うどん又はそばの提供等)

※)株式会社デルトラウムの登録商標です。


区分(指定商品役務)が異なるため、いずれも登録が認められています。その後『真田丸』の登録はなく、7年が経過します。

そして、7年後の2014年5月、商標『大河ドラマ真田丸』、『真田丸』が出願されます。制作記者発表の前日だったようです。


登録5723131 区分:29,30,43 ※)3区分のみです。

※)株式会社NHKエンタープライズの登録商標です。


注目は、区分です。3区分に絞られており、区分29、30,43は、すでに登録済みの各登録商標の区分に一致しています。同一区分の出願をぶつけることにより、すでに『真田丸』の商標権者となっている3者の動き並びに特許庁の判断を見極めるための出願ではないかと...


その後『大河ドラマ真田丸』は、無事登録査定となりますが、株式会社おやきや総本家が動きます。登録商標『大河ドラマ真田丸』に対し異議を申立てました(商標法第43条の2)。区分第30類の指定商品が同一類似であり、登録商標『真田丸』と類似する(商標法第4条1項11号違反)というものです。ただ、これらの動きは、想定の範囲内であったのではないかと思われます。これに対し、特許庁は、『大河ドラマ真田丸』は「大河ドラマの真田丸」の観念が生じ、『真田丸』とは類似ではないと判断し、『大河ドラマ真田丸』の登録を維持するとしました。


登録5779070 区分数 17

※)株式会社NHKエンタープライズの登録商標です。


こちらもすんなりは通りませんでした。こちらは、『真田丸』そのものであり、区分数も17と多いため、特許庁より他人の登録商標と同一類似(商標法第4条1項11号違反)であるとして、拒絶されています。これまでも、『花燃ゆ』、『八重の桜』、『軍師勘兵衛』などが、区分数17で出願され、拒絶されることなく登録されてきましたが、『真田丸』は、拒絶後、数度の補正を経て、ようやく、登録にこぎつけています。

視聴率も好調な出だしの『真田丸』ですが、その裏では、商標『真田丸』の攻防があったようです。その後も数社より『真田丸』の出願がされておりますが、いずれも拒絶されています。今後も、ドラマ同様、『真田丸』の動きに注目です。

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