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久田所長のSE弁理士ブログ

オリンピックといえば、『おもてなし』です。

商標豆知識について

2020年東京オリンピックといえば、キーワードはもちろん『おもてなし』です。

まずは、スバリ『おもてなし』が登録されているかどうか調べてみます。

商標同一の『おもてなし』が既に、複数登録されていました。いくつかご紹介します。

『おもてなし』区分30(菓子及びパン)   ※)株式会社和晃の登録商標です。

『おもてなし』区分33(日本酒、洋酒他)  ※)秋田県発酵工業株式会社の登録商標です。

全く同一の文字商標『おもてなし』が重複して登録されています。前回、同一商標は、登録されないことを、お伝えしましたが、商標の登録の判断は、「商標」とその商標を使用する「商品役務(サービス)」の組み合わせで審査が行われます。

※)正確には、商品役務(サービス)に付けられた類似群コードで審査されます。

したがって、上記例では、商標『おもてなし』が同一であるにも関わらず、指定商品が「菓子及びパン」、「日本酒,洋酒他」と異なるため、登録が認められています。

ここで、区分とは、指定した商品やサービスの分類を表すもので、商品で1~34 役務(サービス)で35~45が、定められています。たとえば、区分30は加工済の植物性食品 区分33はアルコール飲料(ビールを除く)となります。商標登録を受ける際は、この区分のなかから、実際に商標を使用する商品やサービスを選んで申請することになります。

仮に選択した商標と同一のものが既に登録されていても、商品役務(類似群コード)が異なれば、登録が可能ということになります。このことからも、登録済の商標が、宝の山であることが、ご理解いただけると思います。

以下も『おもてなし』の登録例ですが、区分が複数指定されています。

『おもてなし』区分9,42       ※)株式会社野村総合研究所の登録商標です。

『おもてなし』区分30,32,42  ※)伊藤園株式会社の登録商標です。

商標申請では、1つの出願で複数の区分(商品役務)を指定することができます。

この場合、指定した複数の区分に属する商品や役務(サービス)について、商標『おもてなし』を独占的に使用する権利を有することになります。

個人事業や個人商店の場合には、通常1区分指定が多くなりますが、大手企業では、取り扱う商品やサービスが多岐にわたるため、このような複数区分を指定した商標申請が必要になります。

次回は、『おもてなし』と他の言葉を組み合わせた商標について、どのようなものがあるのかを調べてみたいと思います。